登別温泉の熱水系モデル

 登別温泉には多数の源泉がありますが、地域的には地獄谷内にあるもの、大湯沼付近にあるもの、両者以外の温泉街にあるものの3群に分かれます。全体では1日約8,000m3もの温泉が湧出しています。

 登別温泉地域の熱水・温泉活動の起源は、日和山円頂丘溶岩等を形成した地下の高温貫入岩体とされています。地獄谷では、約200年前にも水蒸気爆発が起こっており、最近でも大正地獄での熱水噴出や噴気地帯・間欠泉の変動などが認められ、全般的に熱水活動は活発です。地下にある高温岩体周辺からは、現在も高温高圧の熱水が上昇していると推定されます。この熱水は、地表に近づくと沸騰を始め、気相と液相に分離するときに化学成分の分化を起こし、多数の噴気孔群や多様な泉質を持つ温泉が生じます。

 登別温泉には、硫酸を含む酸性泉や硫黄泉、中性の食塩泉、および両者の性質を持つ明礬泉など多くの泉質の温泉があります。これらは、いずれも高温高圧で高塩分濃度の深部源熱水(ナトリウムイオン、カルシウムイオン、炭酸ガス、硫化水素)に由来しています。
 この源熱水が地下深部から上昇する途中で断熱膨張による沸騰により、熱水相と水蒸気相に分かれ、熱水相はそのまま標高の低い温泉市街地に高温高塩分濃度で硫酸成分に乏しい中性食塩泉として湧出します。
 他方、水蒸気相は炭酸ガスと硫化水素を含み、標高が高く空隙の多い地獄谷・大湯沼の爆裂火口群に運ばれ、硫化水素は噴気孔あるいは地獄谷で酸化されて硫酸となり、酸性泉や硫黄泉として湧出します。
 両者の中間では、酸性泉や硫黄泉と食塩泉の混合が起こり、明礬泉や石膏泉などの両者が混合した泉質の温泉が生成します。最近、熱水噴出が起こっている大正地獄は高温高塩分濃度の食塩泉でありながら炭酸ガス、硫化水素が多く、pHも中性に近いことから深部源熱水が直接上昇しているものと推定されます。

登別温泉の熱水系モデル